卒業おめでとう
前情報
ソロ専用シナリオ
探索者は大学生以上、できれば社会人が望ましい。
推奨技能:目星があればなんとかなる
時間:ボイセ30分~2時間
テキセ:3~4時間くらい
導入
探索者が家へ帰ると同窓会の案内が届いている。小学校の同窓会であり、幹事はクラス長だった伊野ナツメという男。
ここで探索者の小学生の思い出を簡単に語ってもらい、同窓会に行くつもりかどうか決めてもらう。
(途中の描写とエンディングに関係してくるので要メモ)
何かRPしてもらったのち眠ってふと気が付くと、なぜか教室にいる。小学校のよう。見覚えがある、自分が通っていた小学校の教室。
夜の間に移動させられたのではと考えSANC 0/1
探索
調べられるものは、扉、掲示物、黒板、机、教員の机、窓際の棚。窓のむこう。
扉:
普通に開く。真っ暗で宇宙のような空間が広がっている。SANC 1/1d2 足を踏み出そうとすると吸い込まれるような感覚。アイデアで、このまま足を踏み出せばもとの世界に帰れるのではと思う。
聞き耳可能。まだ何もする前ならば嫌な予感がするだろう。卒業証書を入れてからならばこの先に進めば帰れるのではと感じる。
掲示物:
4月から3月までの掲示がしてあり、今は学期末であるとわかる。
クラスメイトの写真が貼られている。指定があればナツメとチハルの顔が分かってもよい。
黒板:
「卒業おめでとう!」と大きく書いてある。その字を囲むようにクラスメイトの名前が書いてあるが、二人分足りない。アイデアでチハルとナツメの名前が足りないことに気付ける。机の名前と見比べても気づけるだろう。
机:
机には名前シールが貼ってあり、小学生の同級生たちの名前。机の中には卒業証書が入っている。それぞれの学校での思い出が書かれたメモが入っており、どれも最後は「楽しい小学校生活だった!卒業おめでとう!」
探索者の机は廊下側の一番前。机の中には同様に卒業証書が入っている。また、小学生の時の思い出をつづった簡単なメモが。内容は最初に話した思い出。メモの最後は、「楽しい小学校生活だった!卒業おめでとう!」で締めくくられている。 誰の字であるか調べるならば、間違いなく自分の筆跡であることがわかる。こんなものを書いた覚えはない。SANC 0/1
当時を思い返していると隣の席の女の子のことを思い出す。あまり目立つタイプではなかったが優しい少女であった。名前は波瀬チハル。
チハルの机:
メモが入っている。「いつも背中に、あなたの視線を感じていた。ずっと一緒にいたかった」。卒業証書は入っていない。
ナツメの机:
窓際の一番後ろ。同じくメモ。「後ろ姿がすきだった。あの子がいれば、ほかのみんななんてどうだっていい」。やはり卒業証書はない。
教員の机:
引き出しを調べると中には卒業アルバムが入っている。写真に目星で、ナツメがチハルのことを見ているものが複数あることに気づく。
最後に真っ白な、友人へのメッセージを書くページがある。はじめは何も書いていないが、探索者がページを開くと文字が浮き出てくる。ありえない光景にSANC 0/1
「卒業おめでとう」「おめでとう。また、会えるか?」「会えるよ」「一緒にいてくれる?」「いるよ。ずっと」「絶対だよ」「うん、絶対」
読み終えると、頭の中に男性の声で「絶対って言ったのに。うそつき」と聞こえる。SANC 1/1d2
(大人のものである。ナツメのものだが、この時点でナツメと会っていないため声で誰かを判別することはできない)
アルバムに目星で、裏表紙に「君を失うくらいなら卒業なんてしたくない」と書かれている。
字は、ナツメとチハルの机の中にあったメモの字と同じもの。
(「卒業おめでとう」がナツメ。その後チハル、ナツメと交互になっている)
窓際の棚:布がかかっている。布をどけて中を探れば卒業証書が二枚出てくる。名前は波瀬チハルと伊野ナツメ。
窓の向こう:
カーテンを開くと窓の向こうが見える。しかし鍵は開かない。
(卒業証書を入れる前)雪がはらはらと舞い、寒そうだ。
(卒業証書を入れた後)桜の花びらが視界を埋め尽くすほどに散っている。どこからかあのころの自分たちの笑い声が聞こえてくるように思う。
エンディング
エンド1.何もせずに帰る。(できるだけ避けさせます。出ようとしたら幸運などで引き止め、それでも出るという場合のみ)
扉から出ると暗闇に吸い込まれ意識を失う。めざめると布団の中。
同窓会に行く場合:同窓会でお店へ行くと、元クラスメイト達が集まっている。チハルはいない。一年前に事故で死んだと噂を聞く。同窓会の始まりにナツメが話し始める。「今日は、卒業式をやり直したいと思ってみんなを呼んだんだ。卒業生は君たち。僕とチハルの約束のために、卒業してください」
探索者、元クラスメイト達はゆっくりと意識を失う。最後に見たのは、嬉しそうに微笑みながら「また会えるね、チハル」とつぶやくナツメの姿だった。 キャラロスト
同窓会に行かない場合:同窓会の日のあと、同窓会に出席した元クラスメイト達が全員行方不明になっていると知る。
探索者はいつか、ナツメに似た男性と、彼がいとおしげに引き連れるチハルに似た女性とすれ違うこともあるかもしれない。
エンド2.アルバムの言葉を見てから帰る。
扉から出ると暗闇に吸い込まれ意識を失う。めざめると布団の中。
同窓会に行く場合:同窓会の会場にはナツメもチハルもいない。チハルは一年前事故で死に、ナツメもつい数日前に死んだことを知る。他の同級生が同窓会を引き継いで開催しているらしい。噂で、ナツメとチハルは付き合っており、事故がなければ籍を入れて結婚式を挙げる予定であった、もしかしたらナツメは自殺だったのでは? と聞く。
同窓会に行かない場合:同窓会は結局開催されなかったという話を聞く。どうやら幹事が死んでしまったらしい。探索者は詳しいことを知ることはできず、いつしか元クラスメイトのことなど忘れてしまうだろう。
エンド3.ナツメとチハルの机に卒業証書を入れてから帰る。
扉から出ると暗闇に吸い込まれ意識を失う。めざめると布団の中。
同窓会に行く場合:同窓会でお店へ行くと、元クラスメイト達が集まっている。チハルはいない。一年前に事故で死んだと噂を聞く。同窓会の始まりにナツメが話し始める。
「今日は同窓会に集まってくださりありがとうございます。実は、クラスメイトだったチハルさんが事故で亡くなりました。哀悼の意を表して、黙とうしたいと思います」
一分間黙とう。こっそり目を開いて見るなら、ナツメはとても深刻な顔。けれどどこか肩の力が抜けている様子。
ナツメに話しかけ、チハルの話を出すなら彼は悲し気に微笑む。「チハルとは結婚する約束をしていたんだ。本当につらくてさ、一緒にいる方法をいろいろ考えなかったわけじゃないけど、どうせいつかは会うだろうから。彼女は一足先に卒業していってしまったからね、僕はもう少しこっちの世界を楽しむことにするよ」
同窓会は終わり、元クラスメイト達と別れる。小学生時代を思い出し、きっと楽しく少し切ない同窓会だったことだろう。
同窓会に行かない場合:同窓会は無事開催され、少したってから探索者は風の噂でチハルが亡くなっていることを知る。懐かしい卒業アルバムを開くと、夢の中では気づかなかったが、一枚だけ笑顔のナツメとチハルが二人で写っている写真があることに気づく。その仲睦まじい様子に胸が暖かくなると同時、悲しくなるだろう。この光景はもう二度と見ることはできないのだ。
アルバムのコメントページには、チハルの繊細な文字でこう書いてある。「卒業おめでとう」
解説
ナツメとチハルは恋仲にあり、チハルが事故死したときからナツメは少しずつ狂気におかされていた。元クラスメイト達をいけにえにチハルを生き返らせようと同窓会を開こうとしていた。同窓会の案内が来たことで探索者はその狂気に触れてしまい、ヒプノス先生の興味を引いてしまったことで夢を見ることになった。チハルの生きていたころに戻りたいというナツメの思いもろとも「卒業」させてあげることで、ナツメは狂気から目覚める。
現実に戻ってからもう一度同窓会に参加するかどうか聞いてもいいかも。
エンド1で同窓会出席の場合、いきなりロストがかわいそうならナツメのPOWを決めて対抗にしてもいいかもしれない。
SAN値報酬
生還:1d2
エンド3:1d3
同窓会に出席しナツメからチハルとの関係を聞き出す:1d2