Jack's monodrama
あらすじ
八百町という町に現代版切り裂きジャックが現れて何人も殺害&行方不明になっている。
さらには知り合いの女の子もいなくなってしまい、共通の知り合いと一緒に探すけど、その子もなんだか様子が変なような...。
前情報
テストプレイでは
PL1人、ボイセ、RP少な目:2時間
PL2人、テキセ、RP多め:11時間
時間はかなり前後するかと思います。
推奨PL人数:2~4人くらい
推理しながらできたら楽しいかなと思うので、PL複数人推奨です。
推奨技能
図書館(必須)
目星 聞き耳 戦闘技能
説得(エンドBには必須)
追跡(なくても問題ないです)
警察だとNPCと関わりづらいので、警官刑事非推奨。
解説
グラーキの棘を刺されると三通りになりうる。
1耐えきれなくて死ぬ。
2耐えきって従者になる。
3耐えきって、途中で針が抜けてしまったためゾンビにはなるが従者ではない。ゾンビにもなれず途中で死ぬ場合も。
1はその場に捨て置く。2は仲間として、地上で信者を増やす行為を行わせる。3は地下へ連れ帰って、多少回復したらまた棘を刺し従者とする。二回目の棘で死ぬことが多いため、地下に死体がたくさんあった。
律羽は本当の犯人。現代の切り裂きジャックであることに悦びを覚え、彼の犯行であると確定している五人と同じような殺し方をして、完全犯罪として姿を消すことが目的である。女装した男であり、娼婦のふりをしている。五人目の被害者に藍里を狙っていたが、グラーキの信者により彼女を殺されてしまったことにいら立ちを覚えた。そもそも切り裂きジャックの犯行と同じタイミングでグラーキ信者による連れ去り、殺人が起こったせいで切り裂きジャックと混同されていることに怒りを覚えていた。グラーキの教団を滅ぼすことが目的である。藍里のことは好きだったが、彼女が自分の憎む風俗という職に身を置いていることから憎悪に似た感情も抱いていた。探索者と行動を共にしたがるのは、殺すつもりだった藍里に気にかけられ好かれていたことに対する戸惑いがあり、彼女と友人であった探索者の近くにいればなぜ彼女が自分なんかのことを好いてくれていたのか、理由がわかるのかと思ったため。
グラーキの教団は信者を増やすことが目的。もともと八百町は湖があることから水神を信仰していたのだが、あるときグラーキの従者によってグラーキ信仰を教えられ、細々と水神として祭られていた。いけにえを串刺しにして捧げるという行為も昔にはあったようである。今はすたれ、古い人間が何人か信仰していた程度。そこへ数十年前にグラーキの従者がグラーキの棘を持ち込んできた。水神の加護により不老不死になれると。刺された人物は従者と化した。ただし本体から離れた棘は効力が薄く、従者となれる可能性は低い。即死したら捨て置き、復活可能性があるなら地下に連れ帰る。死んだならば串刺しにする。無事従者となった人物は棘を刺す次のターゲットを探し八百町に戻る。そうして細々と信者を集めていた。
この八百町の地下に教団がある。遙か海の向こうの地で信者を増やそうとしているグラーキは、その棘を信者に預け日本の八百町でアンデッドを作らせている。他にも棘は世界中に渡っているかもしれない。近頃は切り裂きジャックの事件のおかげで自然に棘刺しチャレンジができると精力的にかつ大っぴらに活動している。
律羽の手帳の中身
律羽の半生が垣間見える。
医者の家に水商売の女と浮気した末に生まれ引き取られたため、本妻やその子どもにひどい扱いを受けた。医学は学んだが家を継ぐことは許されず、異母兄弟の奴隷のように扱われる日々。毎日、母が水商売さえしていなければよかったのだ、あれは不潔な職業だ、とそういった仕事にたいする憎悪を募らせ、あるとき切り裂きジャックという殺人犯について知る。娼婦を恨む男が母親の面影を見た女を殺す、という物語を見たために同調し、ジャックへ陶酔し始める。
そんなとき、金に困った母親が無心に来たため衝動的に殺してしまう。これが、第一の事件。もう人として生きることにつかれ、どうせならジャックと同じことをして死んでやると決意。ジャックが確実に殺したとされる五人と同じ年齢の水商売の女性を殺すことにする。そうして女性たちを油断させるために女装をし、バーへ入り浸るようになった。
グラーキの従者の行いに対する怒り、そして最後の被害者である藍里への思いがつづられる。人にやさしくされたことなどなかった律羽に、本当に身を案じた言葉をかけてくれていたこと。彼女のことを大切に思う反面、こいつも自分の母のように女としての裏切りを繰り返しているのだろうという憎しみ。殺すことができず躊躇っているうちにグラーキの従者に狙われてしまい、悲しみといら立ち、どうしようもない怒りを覚え、彼女を救いたいと思ったこと。彼女の友人である探索者たちと一緒にいれば、彼女を救うこともできるのではないかと考えたこと。など。
はじまり
探索者は藍里という25歳の女性と知り合い、友人である。
ある夏の終わりの日。八百町で彼女に会いたいと呼び出される。別の街に住んでいる探索者に、八百町に関して簡単に情報。
向かうと女性を紹介される。律羽というその女性は清楚な印象を受ける美人。目星で筋肉質だなあとわかる。そして長袖。もしなぜ長袖なのか聞かれたら、冷房に弱くてなどと答えるだろう。(男なので肉付きからばれてしまうことを恐れて)
藍里は風俗で働いており、律羽もまた同じ職に就いている。藍里はあまり頭がよくない。風俗の仕事に不満はないしこの道を歩んでいく心づもりであるけれど、律羽は違う。頭がいいしこんな仕事よりいい職がきっとあるはずだ。探索者関係の仕事を紹介してくれないか、という話をされる。律羽は困った顔をしているが、藍里の熱心な様子に口をはさめないよう。二人の様子は仲睦まじいものだ。
探索者が藍里の願いを断ったとしても、律羽の連絡先を渡される。
世間話で、八百町に出る切り裂きジャックの話。(実際の切り裂きジャックの事件を調べるよう、藍里に「でもそもそも切り裂きジャックってどんな事件だったんだろうね」などと言わせるといいかも)
そうして、その場は別れることになる。
(藍里はゆるふわで憎めないキャラでRPするとよい。律羽は、切り裂きジャック事件のピリオドとしてそろそろ藍里を殺すつもりであったが、親身に心配してくれる藍里の姿を見て躊躇っている)
失踪
一週間後、律羽から着信があり、藍里が行方不明になっていると話が入る。探索者たちは彼女を探すことになる。
律羽は動揺しており(自分の狙っていた人間&信頼していた人間が別の輩に攫われたため)、今お店にいるから来てくれないかと言う。
もし藍里について調べるなら。
藍里は人から憎まれたりするような人間ではない。キャバクラの店長や女の子、両親に話を聞いても、家出する理由がないし誘拐されたにしては犯人からの連絡もないと答える。色々な男性と会うことが好きで結婚や一人に決めることはしないと公言していたため、逃避行である可能性もない。お客さんもそういった性格は知っているため恨むことはないだろう。
バーでの再会
夜は皆仕事があるため、バーは基本朝から夕方までが混雑する。別に風俗嬢限定の店ではないため普通に入れる。人が多い時間帯に行くと、大勢の女の子たちが仕事の愚痴や悩みを話している。
ここで聞き込みをしても、藍里を心配する声や彼女は人に恨まれるような子じゃないし悩み事も聞いていない。彼女は聞き役だった、などと教えられるだけ。
律羽は店にいる。目星を振るならば長袖だとか露出が少ないとか。
ここの常連で、藍里ともここで知り合ったという。彼女が行方不明になったことが本当に悔しく、悲しい。きっとまだ生きているはずだと信じている。彼女を救うためなら危険をいとわないし探索者たちについていきたい、と。
もし探索者が警察関係だと同行せず、囮作戦まで連絡はない。(事件の犯人なのでさすがに警察とともに行動することは控える。心理学を振ってもいいが、彼は母を殺した時点で発狂しているためはっきりしたことはわからない)
つれていかないとしても、自分は自分で情報を集める。情報共有などさせてもらえないか、役に立つ。などと食い下がる。
もしほかの女の子たちに律羽について聞くならば、律羽と藍里は本当によく一緒に話をしていたこと。律羽はかわいいのにそれにおごらない(本当は男だから当然)、とても優しい子であると言う。
もし聞かれたら答えてもよい。律羽が働いている店については、誰も知らない。さらに、律羽は二か月前から店に来るようになった。
目星を振ると、肌の露出の多い服を着ている子ばかりであるなか、何名かが長袖を着ていることに気づく。体のどこかをさすっている様子にも気づくだろう。(グラーキの従者。さすっているのは棘を刺された場所。グラーキや棘について聞かれたとしても答えることはない)
情報
状況に応じて適宜出してください
<現代切り裂きジャック事件について>
最近、この八百町で殺人事件や行方不明事件が多数発生している。犯人は「切り裂きジャックの再来」などと騒がれている。首を切られたり内臓を持ち出したりする事件が起きているからである。また、被害者が水商売に身を置いている女性ばかりであるという点からも切り裂きジャックだと噂になっている。
<より詳しく調べる>
死体で見つかった被害者は12人。一番古い事件は二か月前で、40代の女性であった。どれも無残に殺されている。週末や月末に事件は起きている。
警察の情報を探ることができれば以下がわかる。首を切り裂き鋭利な刃物でバラバラにされている点は変わらないのだが、12人中8人の体には何か太い針で刺されたような跡があった。
ゴシップ誌などを見ると、吸血鬼の話が出ているのを見つける。
「切り裂きジャックは吸血鬼だ。警察は隠しているが、死体で見つかった被害者の体には何かで刺したようなあとがある。これは吸血鬼が牙を突き刺したためできたもので~」など怪しげな内容。
もしゴシップ誌の編集に話を聞くならば、連絡すればアポがとれるだろう。
<八百町について>
それなりに栄えた町。大きな湖があり、それを囲むようにして町がつくられている。湖はもちろんだが、水害で亡くなった人の慰霊碑などがある。災害が多かったようだ。その昔は、大きなダンスホールをつくるという計画があったとか。
<インターネットで事件について調べる>
スレッドなどで以下のような会話がされている。
「犯人は医者だ。切り裂きジャックは医者だって説があるし、人間バラバラにするなんて知識がないとできないだろ」
「週末や月末に殺すなんてとこまで模倣してんだな...。気味が悪い」
「女かもって噂もあるんだろ? 被害者に警戒した様子がないからとか」
「でも首かき切ったりとかバラしたりとか、そんなの女にできるかよ。男だ男」
「こういうときは名探偵が出てきてぱぱっと解決してくれるんだけどな。漫画だったらさ」
「ゾンビがどうとかって話は関係あんのかな」
「あれこそ都市伝説だろ?」
(犯人は女装した男性であるというヒント。コナンドイルは切り裂きジャックは女装した男性であると推理していた)
<実際の切り裂きジャック事件について>
1888年にイギリスで連続発生した猟奇殺人事件の犯人の通称。この事件は未解決事件であるが、犯人の正体についてはいくつもの説が唱えられている。
確実にジャックの仕業とされている事件は五つ。すべて女性で、47歳、42歳、44歳、43歳、25歳。被害者の情報を思い出すならば、12人の被害者のなかに47歳、42歳、44歳、43歳の人たちがいたとわかる。また、殺され方も同じであるとわかるだろう。
アイデア 藍里は25歳である。過去のジャックの事件の模倣となるにはぴったりだ。しかし、殺されてはいない。ジャックの仕業だとしたら何かおかしくはないか?
<水神について>
昔は災害も多く、水神を祭っていたこともあるが時代が進むにつれ廃れていった。いけにえを串刺しにし水神に捧げ、慈悲を乞うもの。水神の名は、阿俱螺アグラといった。図書館などで、人を串刺しにしいけにえに捧げている画像を見つけることができる。感受性の豊かな探索者ならSANチェック0/1
<棘について>
ネットで調べると、怪物に棘を刺され操り人形になってしまうという都市伝説的な話が出回っている。魂のないゾンビとなり、傀儡となる~など。
ゴシップ誌の編集
人の好さそうなおじさんが出てくれる。吸血鬼記事を書いた人。
「8人の被害者から棘の跡が見つかったんだ。吸血鬼がここから血を吸い、食事後処分をしたのではないか。また、もしかしたら何人かは吸血鬼になってしまったかもしれない。そうして増えた吸血鬼により、八百町は占拠されてしまうのだ! など。吸血鬼ならば日光に弱いはずだ!」など。(グラーキの従者とやりあうときのヒント)
「この町は、やはり何かオカルト的なものに好かれているんだなあ。吸血鬼だなんて!」
やはりとはどういうことか? 「その昔水神様を祭るあまりいけにえを捧げていたという話がある。町の地下には祭壇があり、そこで水神を崇め奉ったんだ。ああ、もしかしたら今回の事件、吸血鬼ではなく水神へのいけにえなのかもしれないぞ! きっとその昔作られた地下のダンスホールにて夜な夜な饗宴を......!」(あながち間違いではない)
「あとは昔から神隠しに会うなんて噂があるんだよ。ただ、最近はその行方不明者が多くて...」
(胡散臭そうにするとすべてブラフに思ってもらえるかも)
水神について調べるなら歴史の古い神社があるぞと教えてくれる。
神社
小さな神社。神主さんがいる。この神社で祭っているのは龍神である。
この神社について聞くと、遙か昔から信仰されていて、いけにえを捧げるようなものではないとぶぜんとしている。
棘やゾンビ云々、アグラについて話すと胡散臭そうにするが、そのうちに思い出したと言って亡くなった祖父の日記を出してくる。
内容は以下。
「自分たちの祭る龍神様以外の水神を信仰する宗教が入ってきた。阿俱螺だとか言ったか。信者は少ないが、こそこそと何やら怪しいことをしている。あちらに信仰をうつした信者に昨夜であった。話を聞くと、彼の神は不老不死をもたらしてくれるのだとか。そのために棘をさすだの恐ろしいものがなくなるだの阿俱螺様は素晴らしいだのと語ってくれた。晴れやかな笑みが印象的であった。どんな神であろうとも信者を幸福にするのならばよい神なのだろう。しかし、しきりに腕をこすっていたが、どうしたのだろう。こんな夏場に何枚も着物を重ね、体調でも悪いのか。」
阿俱螺について、神主は噂に聞いた程度のことしかわからない。いけにえ云々ももしかしたらあったかもしれないが、どんな土地でもあったことだ。この平成の時代にそんな非科学的なことがあるものか、と一笑に付される。
切り裂きジャックについても、ニュースでやっている程度しかわからない。
囮作戦
二日目の夕方になると、律羽から提案もしくは連絡がある。連絡先を知らない場合は探索中に出会う。
律羽は自分を囮にして、藍里を連れ去った犯人をあぶりだしてほしいという。今日は金曜日で、犯人が現れるはずだ。だから夜じゅう後をつけてほしいと。たとえ断っても自分一人でもやると言い出すだろう。護身用にと大きめのナイフを取り出して。
目星で今日も厚着だと気づく。(グラーキの信者であると思わせるためのブラフ)
律羽について回っていると、深夜に差し掛かったころに彼女の知り合いと思しき風俗嬢が近づいていくのを見る。様子を見ていると、律羽と言い争ったのち強引に腕をつかみ(ように見える)律羽は連れられて行ってしまう。追跡で追いかけられるし、見失っても律羽から電話がかかってくる。(律羽は自身でグラーキについて調べていた。近づいてきた風俗嬢がグラーキの従者であることに気づくと、グラーキに興味があると言って地下へ連れていかせた)
律羽は、まるで今まさに誘拐されているんですというような声を出すが、演技。探索者をおびき出し、もし藍里を生きたまま保護することができたら自分が従者たちをぶちのめしている間に地上へ逃がすために。
地下
地下への入り口は慰霊碑の裏、湖のほとりに隠されている。木に隠された部分に土で掘り返された跡があり、その下に扉がある。
入り口近くで手帳とメモを拾う。これは律羽のものである。メモには「奴らは強い光に弱い。とくに見た目が腐っている奴は。人間じみたほうから殺すべきか?」とかかれている。手帳はそのまま読むと二時間経過。図書館成功で概要のみで、手帳の持ち主が切り裂きジャックであり、かの過去の事件、ジャックの偉業を現代にて完遂させなければ、というようなことが書いてある。
追跡成功していても入り口で律羽たちを見失う。
地下はきちんとした作りになっている。しばらく木でできた簡易な通路を進むと二つに道が分かれる。左に聞き耳をすると死臭、右に聞き耳をするとかすかな物音が聞こえる。
左の道
歩いた先は空洞になっていて、ろうそくでうっすらと照らされている。部屋全体には台。台の上には体中から血を流し息絶える幾人もの女性が積まれている。死体を見てしまったことに対するSANチェック 1/1d3
目星等に成功で、女性たちの格好などから、水商売の女性なのではと気づけるかもしれない。
死体の中に、一人だけ毛布を掛けられている女性がいる。近づけば、藍里であると気が付けるだろう。気絶しているので応急手当をすれば目を覚ます。そのままにしておいても構わない。
どうしてここにいるのかわからないと混乱している。周りの状況を見て青ざめるだろう。この部屋からはやく立ち去りたいと言うし、律羽の話をすると自分も行きたいと言い出す。言いくるめれば置いていくこともできる。目星で二の腕を必死にこすっていることに気づける。もし彼女の手に触れるならば、とても冷たい。
彼女は毛布を羽織ってついてくる。(毛布の下、腕には棘の跡があるが、彼女はゾンビ化はしているが従者ではない)
部屋の正面には薄汚れたグラーキの絵が飾られている。「楕円形の体から無数のとがった針が突き出ており、とがっていないほうの橋に厚い唇のついた丸い口がついている。顔からは三本の細い茎が出ていてその先に目がついている、体の下に三角形の者がたくさんついている」おぞましい絵を直視してしまった者はさらにSANチェック 1/1d3
その隣には、「光持ち込むべからず」という張り紙がある。
右の道
右の道を少し歩くと、空間がある。中央に祭壇。
また、 祭壇には太く鋭い何本もの針が設置されており、その針にはおぞましい量の血液がこびりついている。アイデアを振らせるなら、この上で何人もの人間が串刺しにされ殺されたのではないかと想像し、SANチェック 1/1d4
さらに目星で、床や祭壇についている手跡や足跡から大勢の生物がここにいたのではないかと思う。
目星で、天井に巨大なシャンデリアがあることに気づける。
その奥。律羽と7人の人間。目星に成功していてアイデアにも成功したら、祭壇周りの様子より明らかに人数が少ないとわかる。さらに先ほど律羽に声をかけた女性が倒れている。
律羽の名を呼ぶと7人の人間もこちらを向く。血の気がまったくなく青というよりは白。ひび割れた肌。まさにゾンビといった風貌で、のっそりとこちらを見やる。グラーキの従者と化したゾンビのおぞましい容姿にSANチェック 1/1d8
その一瞬の隙に、律羽が懐から大ぶりのナイフを取り出して振りかぶる。もっとも近くにいたゾンビの首にナイフをざくりと突き刺し、その勢いのまま引き抜く。血はあまり出ないが、ゾンビは力尽きたように倒れる。
律羽は探索者を見て皮肉気に笑い、分厚い上着を脱ぎ棄てる。平べったい胸と、筋肉質な体つきに、律羽が男だと気づくだろう。アイデアで気づかせてもよい。
「嫌になりますね、本当に。こんなクソ、最低の怪物どものせいで俺の計画はすべてパーですよ。ありえない。全部全部、ぶっ殺す」
「ああ、藍里は......。藍里は俺が、俺の獲物だったのに、どうして......」
発狂しているかのような発言があるが元から狂っているので落ち着かせることはできない。
ここから戦闘に入る。
戦闘
グラーキの従者(6人)
STR:10 CON:22
SIZ:11 INT:11
POW:13 DEX:4 耐久力:10
組付き:20% 小鎌:40%(1d6+1)
こぶし:50%(1d4)
律羽
STR:16 CON:11 DEX:13 APP:15
SIZ:12 INT:15 EDU:16 POW:12 耐久力:14
こぶし(大型ナイフ)80%(1d6+1d4)
グラーキはあと6人いる。そのうち二人はまだ若いグラーキの従者であり、人間らしい見た目をしている。
そちらの人間らしいほうに律羽は果敢に戦闘を挑み倒し始め、探索者も参加できる。従者が力尽きると血液はあまり出ず、まるで腐りゆくようにぼろぼろと崩れ落ちる。
先に左の道へ行き藍里と合流していた場合、1d3ターンが終わったところで藍里が「その台の下! スイッチがあるの! 押して!」と叫ぶ。探索者が祭壇の下を覗き込むとスイッチがある。押すと、シャンデリアから鮮烈な光があふれる。
ゾンビらしい見た目の従者は身もだえ苦しみの声をあげ、何もせずともそのまま腐敗し死ぬだろう。徐々に肌は腐り落ちはじめ溶けるようにゾンビは死んでいく。棘の効力が弱いため緑の崩壊はすぐに起こる。おぞましい光景にSANチェック 1/1d10
若いグラーキの従者を戦闘不能にしてしまえば戦闘終了。人間を殺したような気がしてSANチェックをしてもいい。
ほっと息をついたところで、藍里が律羽に走り寄る。律羽はばつが悪そうにうつむく。
「律羽ちゃん。私知ってたの」
「え?」
「律羽ちゃんがそこのお店の子でもないってことも、男性だってことも、例の事件の犯人だってこともね」
「藍里、俺は......」
「うん。私を殺そうとしていたのね。いいよ。私もああなりたくはないもの」
藍里が毛布を落とすと、左の道にいた死体と同じような棘の跡が腕にある。あのゾンビたちのように生ける屍として生きていくことになるくらいなら律羽に殺されたい、と。
律羽は藍里を殺す決意をする。
左の道へ行っていない場合、藍里がおらずスイッチの場所がわからないため戦闘はきついものになるだろう。律羽の能力を強化してもよい。アイデアや目星でスイッチを探させてもよい。
藍里がいない場合、探索者は律羽を責めるかもしれないし、皆で藍里を探しに改めて左の道へ行くかもしれない。律羽はとにかく藍里を探したいというだろう。藍里と合流したのち、藍里が死を望むシーンに入る。
エンディング
<A:律羽が藍里を殺すのを止めない>
律羽はナイフを藍里の胸にさす。棘の跡を掌で抑えつけ、彼女の痛みを上書きするように、深く優しく。藍里の胸から血は流れない。ふっと力がなくなり、律羽の腕の中に崩れ落ちる。親しい友人の死を前にSANチェック 0/1d6
律羽はしばらく力尽きた藍里を抱きしめると、律羽は探索者たちを振り返る。
「藍里を地上へ連れていってやってくれ。彼女という被害者を最後に、切り裂きジャックの事件は終いだ」
探索者が藍里を受け取ると、律羽は近くの死体に火を落とし燃やし始める。そして、逃げろ、という。
「俺は舞台を降りるよ。ジャックは捕まらなかったし俺もまた捕まらない。事件はこれで、迷宮入りだ」
律羽を連れ出そうとしてもできない。炎の勢いは強くなり、探索者たちは地下から脱出せざるを得ないだろう。
火は周り、見つかった地下から多量の死体が見つかる。切り裂きジャックの仕業だとか宗教団体がだとか吸血鬼がだとか憶測は飛ぶが、結局事件は迷宮入りとなる。グラーキの従者はまだ残っているが、彼らの意識を乗っ取っていた棘はもう消えてしまったため、自意識のあるゾンビとして陰に隠れて存在していくことだろう。
こうして、現代の切り裂きジャックは消えた。
<B:律羽が藍里を殺すのを止める>
言いくるめや説得で止めることができる。藍里はゾンビになっているが、グラーキの従者にはなっていないため生活することは可能。ただし年を取るごとにゾンビのような見た目になっていくし、強い光を浴びると死んでしまう。(ということを、藍里は棘に刺された際にグラーキの従者たちと意識を共有をしたため知っている。祭壇のスイッチの話も同様)そんなことは耐えられない、今ここで殺して楽にしてほしいと頼む。
律羽は、自分を大切に扱ってくれたのは藍里だけだ。死んでほしくないし、もう自己満足のために殺そうなんて思えない、と言う。
あとは探索者が望むように。律羽と藍里二人で人里離れた場所で暮らすように提案するのもよし。律羽に罪を償えと言うのならば彼は受け入れるだろう。四人も残忍に殺しているため終身刑や死刑は免れないと伝えてもよい。
律羽と藍里は探索者の言葉のとおりに行動する。二人と探索者は地下を出ることだろう。
ここで、棘を燃やしたり破壊すると、地下は残っているが、ゾンビたちは信者を増やす行為は行わない。人目を避けてひっそりと存在していく。
律羽と藍里はそれぞれに生きていくことだろう。そして、切り裂きジャック事件は終わりを告げる。
棘をそのままにしていると、外に出ていたゾンビがなおも信者増やしを行おうとするだろう。なお生まれる行方不明者に、探索者たちはまた地下を目指すかもしれない。もしくは、地下の存在を暴露し謎の宗教団体の基地として弾圧されるか。いずれにせよ切り裂きジャック事件は終わりを告げる。
シナリオクリアで1d6のSAN回復
探索者がエンディングに納得していれば(律羽と藍里を死なせるのか、それとも生かしたほうが幸せなのか?など)、さらに1d3の回復。